スウェーデンに移住してから、どんな仕事に就くのか、これは多くの移民にとっても大きなテーマであります。
移住すると多くの人が語学学校SFI(Svenska för invandrare)に通います。
それから、SVS (Svenska som andra språk)などに進み、高校レベル(gymnasienivå)の単位を取り、大学やYrkeshögskolanに行く人も。
Korta vägenなどに通うなど、もっと早く終える方は沢山いらっしゃると思いますが、私はこれに、7年近くかかってしまいました(子育て期間を抜かして)。
そりゃ、久々に会った人に何をしてるか聞かれて「学生をしてます」と言ったら、「まだやってるの?!」って驚かれるはずです(;’∀’)
さらに、資格を取れる、医療・福祉・教育関係だったらまだしも、大学を出たから就職できるなんて保証もなく、大学を出てもその専門とは違う所で働いている人も、私の周りには結構いたりします。
また、お金のことも考えなくてはなりませんから、学校か仕事か、はたまた子供は、なんてこともからんで、何を選択すべきかは本当に悩みます。
ということで今回は、私が移住してから大学を卒業するまでの葛藤や、結局何を得たのか、について書いてみました。
日本で得た専門性を活かす?
日本で体育教師をしていたので、ここでもなることを選択できたのですが、講師としては働けるが、フルで働く場合は大学に行く必要があると言われました。
しかも、日本の大学で得た単位で、ここで使えたのは、日本語・保健・公民・数学、のみ笑(日本語は活かせないよ~( ;∀;))
ということは、ほぼフルで大学に行く必要がありました。
体育教師になるためには、Grundlärarprogrammet の4年、または Ämneslärarprogrammet で5年かかります。
さらに、ここの生徒は日本の生徒とは色々と違うため、対応できる気がしない(態度も体もでかいでかい)
そこで、4~5年大学に行く必要があるならば、1から新しい分野で出発しよう、と思ったのでした。
夫も学生だった
夫がだいぶ年下なので、スウェーデンに移住してから、夫の大学生活がはじまりました。
その後、夫は大学4年+博士課程5年と、博士課程の間は研究費をもらえていたものの、学生です。
その間に、私は学生、妊娠・出産して、また学生に戻り、と2人で学生をしている時間も長かったです。
子供を授かるのは、私がフルの仕事を得てからの方がいいのは分かっていましたが、私の年齢のこともあり、このタイミングで子供を授かりました。
正直、子供を授かってから数年は、経済的なプレッシャーを、特に夫の方が感じていました。
職のあるスウェーデン人をパートナーにしていたら、夫はこんなことを感じずに済んだんじゃないか、と後ろめたく思ったことは、何度もありました。
大学に行く理由、私と夫の違い
私はスウェーデンに移住した時点で、大学に行きたい、と思っていました。
留学したいという夢を持っていたため、移住した時、それを叶えられるチャンスが来たと思ったのです。
ただ、こんな理由の私とは違って、現実的な夫も、私が行きたいのなら私に大学に行ってほしかったのですが、その理由は
「これから長いスウェーデンでの人生の中で、大学に行くことが、その後の人生の大きな投資となる」
と考えていたようです。
私に仕事を得てほしい、自立してほしい、という気持ちがとても強かったのですが、それと共に、例え今収入が少なくても、スウェーデンで学ぶことを投資と考え重要視していました。
なので、私も日本語教師や副業、介護の夏アルバイト、お寿司屋さんなど、細々収入を得ながら勉強していたものの、仕事をフルでしていないことに心苦しくなり「勉強を一旦中止して就ける仕事を探す」という提案を何度もしてきましたが、その度に夫に却下されました。
夫の意見が無ければ、私は大学を卒業していなかったかもしれません。
大学に行って何を得たか
そんな中で今卒業してみて、思わぬところで修士まで取得してみて、何を得たかと考えると
- 学歴
- 知識や経験
- スウェーデン文化の理解
- 言葉
- 達成感と心の支え
だと思います。
私の場合、大学卒業を活かして就職したわけではないですが、今後ビジネスをするにあたって、学歴が相手の信頼を得る一つの助けとなるかもしれません。
大学では、知識を得ることだけでなく、必要な情報を見つけ出す力・解決する力・考える力を訓練されました。
また、スウェーデン人の若者と一緒に勉強することで分かる文化も多かったです。
そして、スウェーデン語や英語は、学ぶ過程でだいぶ伸びたと実感しています。
最後に、達成感と心の支えです。
スウェーデンに移住してきて、言葉もままならない、何者でもない自分に、情けない気持ちを抱いてきました。
異国に移住して、大の大人が子供より言葉ができない、何にもできないって、結構屈辱的でした。
子供を授かることができて、本当に有難かったですが、いざ履歴書を書こうとしたら、子育ての間は真っ白で、まるで何もしていないみたいでした。
そんな時間を過ごして、「大学生」になれた時やっと、私は〇〇です、って言えるものができました。
自己紹介が楽になれたし、少しだけ堂々とできるようになりました。
そして卒業してみて、これから長いスウェーデンでの人生の中で「私はここまでやったんだぞ!」っていう経験は、今後自分自身の大きな支えとなってくれると思っています。
後で自分の人生を振り返ってみれば、きっと短い4年間。
やりたいことを達成できた、ってことで納得して次に進めています。
長い人生で納得できる選択
今思えば、もっと効率よくできてたこともあると思うし、反省すればキリがありません。みんな凄いな~、と周りを見ると感嘆だらけです。
それでも、後から自分の人生を振り返った時に「あの時やっておいて良かった」と思えることが達成できたので、後悔せず進めることが一番良かった、と思っています。
スウェーデンでの人生の選択に悩んでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、これからのここでの人生も長いと思うので、納得できる選択ができますように。
読んでくださり、ありがとうございました。