個人でも様々な働き方ができるようになった現在で、海外でもフリーランスや個人事業主として働く、という働き方も増えてきています。
フリーランスは、特定の会社などの雇用形態を持たず、個人として独立して仕事を請け負う働き方。
個人事業主は、税務署(Skatteverket)に開業届を出すことで、税法上で区分され、継続して事業を行う個人となります。
私も以前はhobbyverksamhetとして、副業で得た収入の税金を納めていましたが、継続して事業を行う覚悟を決めたために、個人事業主として開業届を出すことにしました。
ということで今回は、スウェーデンで個人事業主になる手続きについて書いていきます。
スウェーデンで個人事業主になるにあたって、知っておいた方がいい用語やシステムがありますので、今回はそれらについて主に書きます!
個人事業主と株式会社の違いを簡単に説明!
Enskild firma(個人事業主)は、法人化していない、独立して事業を営む人のことを指します。
個人事業主は、事業の権利も責任も、無制限に自分で責任を負います。
Enskild firma の organisationsnummer はあなたのパーソナルナンバーになります。(ÅÅMMDD-XXXX)
それに対して、会社はあくまでも個人とは異なる「法人」なので、ビジネスの権利や責任は、会社が負うことになります。
Enkelt bolagは、数人で事業を営む場合を指します。Enskild firmaと同じく法人化はされていなく、負債と資産は自分の分け前に対して責任を負います。
始めやすいことや手続きが簡単であることから、個人事業主から事業を始める人がほとんどで、事業が育ってきたら株式会社に移行していきます。
事業が上手くいかなくなったら廃業しやすいのも、個人事業主の特徴で、株式会社となると設立も廃業も沢山の手続きを伴います。
スウェーデンで個人事業主になるためのステップ
- Företagsskatt(F-skatt かFA-skatt)の申請
- 付加価値税(moms)の登録
- 会社名の登録
- 銀行口座の開設
- 健康保険や損害賠償保険などの保険について調べて、必要であれば入る
スウェーデンで個人事業主になるのに必要なステップは簡単に書くと、この5ステップになります。
1.2はskatteverketで、3はBolagsverketで行います。
どちらもネットからの申請・登録が可能です!1,2は無料で、3は登録料がかかります。
スウェーデンで個人事業になる:ステップ1&2
開業届を出す
スウェーデンでは、Skatteverketで開業届を提出します。申請は無料でできます。
Skatteverket では
- F-skatt の申請要請
- 雇用主(arbetsgivare)としての登録
- 付加価値税(moms)の登録
ができます。
これらの届けは verksamt.se でオンラインで行う、または skatteverket.se で Företagsregistrering (4620) をダウンロードして、ステップ1と2が一気にできます。
F-skatt
Fはföretag(会社)のこと、skattは税金を指し、F-skatt は、事業活動を行う者が支払う、スウェーデンの暫定税の一種で、事業で利益が出た場合に支払います。あなたが一人で個人事業を営む場合はF-skattを申請します。
F-skatt が承認されたということは、起業家として、税金や手数料の支払いを、自分で処理することを意味します。
つまり、あなたが税金と手数料を支払う、責任を負う真面目なビジネス オーナーであることを示しています。
個人事業で従業員を雇う場合は、FA-skatt(Aはanställningのこと)を申請します。
財務諸表/決算書(bokslut)の日付
個人事業主に許可された会計年度(räkenskapsår)は、1月1日から12月31日となります(法人のように事業年度を自由に決めることができません)。
なので、例えば個人事業を5月に始めた場合でも、その年の会計期間は12月31日までになります。
会計期間は、次の年の12月31日まで伸ばすことはできますが、18カ月以上にすることはできません。
その後、財務諸表の作成と所得税の申告(inkomstdeklaration)をすることになります。
財務諸表は企業の一定期間の経営成績や財務状態などを明らかにする、複式簿記に基づいて作成される書類のことを指します。一般的には決算書や決算報告書と呼ばれます。
付加価値税登録(momsregistrering)
moms は mervärdesskatt の略で、VATとも呼ばれ、物やサービスを提供した際にかかる税金のことを指します。例えば、100円で仕入れて110円で売った場合、企業が生み出した付加価値は10円になります。付加価値税はこの商品やサービスの価値が増えた分(ここでは10円)に対して課税が行われます。
もし、付加価値税の義務のある収益が、1年で100万クローナ(en miljon kronor)以上であれば、付加価値税は3か月毎に報告しなければなりません。(毎月報告することもできます)
付加価値税の義務のある収益が、1年で100万クローナまでであれば、付加価値税の報告は1年に1回します。(3カ月に1回の報告を選ぶこともできます)
付加価値税の義務のある収益が、1年で3万クローナ(30 000 kronor)までであれば、付加価値税の報告や登録は必要ありません。
付加価値税登録をすると、momsregistreringsnummer (VAT-nummer) がもらえます。このナンバーは、あなたのパーソナルナンバーの前にSEが付き、最後に01がつきます。
予定納税(preliminär skatt)
予定納税とは、前年度の収益などから今年度の納税額を計算し、「税金を分割で前払い」する制度のことです。
予定された利益分(överskott)、つまり予測した収入から、予測したコストを引いた額を計算します。
さらに
- 個人の年金積立金
- särskild löneskatt på pensionskostnader (SLP): 雇用主が従業員のtjänstpension(年金の一種)のために支払う税金
- 従業員の仕事上の旅費
などを計算し、どれくらい控除できるかも算出します。
個人事業で収入を得ている場合、個人の年金積立金から控除(avdrag)することができます。個人の年金積立金の控除は、最大で収入の35%、basbelopp の10倍まですることができます。年金積立金の控除は、年金保険(pensionsförsäkring) か IPS(Individuellt pensionssparande)で年金を積み立てる場合にのみできます。
スウェーデンで個人事業主になる
個人事業主としてSkatteverketに開業届を出すにあたっての、知っておきたい用語やシステムについてでしたが、いかがでしたでしょうか。
まだ事業が始まっていないうちから、収益・支出や税金を予測する必要があるなど、少し複雑な所もありますね。
ステップ1と2の具体的な申請についてはこちらをどうぞ↓
※今回の内容は、入念に書籍などを調べて書いていますが、ご指摘がありましたら「お問い合わせ」からお願いします。また、申請や登録はご自身の責任で行ってくださるようお願いします。