日本にも、暗黙のルール、常識、習慣という名の、名言はされていないけど、ルールとして存在する不文律が存在しますが、スウェーデンにもそういったものが存在していて、文字として残っています。
それが、ジャンテの法則(Jantelagen)です。
色々意見があるとは思いますが、Jantelagenが今もスウェーデン文化のルーツとして残っている、という意見もあります。
そして、どうやら、デンマークやノルウェーなど、スカンジナビアの文化のルーツとしても当てはまるようです。
ということで今回は、スウェーデン文化を知る上で大切な、ジャンテの法則について調べてみました。
ジャンテの法則はどこから来たの?
ノルウェー人でデンマークで育った作家・アクセル サンデモセ(Aksel Sandemose)が1933年に書いた小説、「En flykting korsar sitt spår(逃亡者が自身の足跡を横切る)」の中に載っているのが、ジャンテの法則(Jantelagen)です。
この小説の中で、サンデモセは架空のデンマークの小さい町、ジャンテについて書くことを通して、当時存在していた不文律(Oskrivna regler)をJantelagenとして文字にしました。
日本でいえば、年上を敬いなさい、のようなルールですが、それがスカンジナビアにも存在していて、今も文化に残っているのですね。
ジャンテの法則の10の戒律
では、ジャンテの法則は10個の戒律があるので
ジャンテの法則の10の戒律(Jantelagens tio budord)について、みていきましょう。
- あなたは、あなたが何者かであると信じてはいけません
- あなたは、あなたが私達と同じように良いと信じてはいけません
- あなたは、私達よりも賢いと信じてはいけません
- あなたは、あなたが私達よりも良いと思ってはいけません
- あなたは、あなたが私達以上に知っていると信じてはいけません
- あなたは、あなたが私達よりも優れていると信じてはいけません
- あなたは、あなたが何かの役に立つと信じてはいけません
- あなたは、私達を笑うべきではありません
- あなたは、誰かがあなたの事を気に掛けると信じてはいけません
- あなたは、私達に何かを教えることができると信じてはいけません
Jantelagens tio budord
- Du skall inte tro att du är något.
- Du skall inte tro att du är lika god som vi.
- Du skall inte tro att du är klokare än vi.
- Du skall inte inbilla dig att du är bättre än vi.
- Du skall inte tro att du vet mer än vi.
- Du skall inte tro att du är förmer än vi.
- Du skall inte tro att du duger till något.
- Du skall inte skratta åt oss.
- Du skall inte tro att någon bryr sig om dig.
- Du skall inte tro att du kan lära oss något.
参照: Undvik Jantelagens tio budord
読んでるだけで、息も詰まりそうな内容です(;’∀’)
見てわかるように、ジャンテの法則は、「あなた」と「私たち/私たち」で構成されていて、あなたがグループ内でどのように振る舞うべきかを強調しています。
「他の人よりも抜きんでてはいけない」「自身に価値があると思ってはいけない」そういった考えは、古くからスカンジナビアに存在したようです。
しかし、著者のサンデモセは、決してジャンテの法則の支持者だったわけではなく、自分達が何かを決定する際に、どれだけ他者が行動を制限しているのかを示すために、それを定式化したと言われています。
ジャンテの法則がスウェーデン文化にどんな影響を与えているか
ジャンテの法則がスウェーデン文化にどんな影響を与えているか、様々な研究がありますが、ポジティブな影響を与えている、という人も、逆にネガティブな影響を与えている、と結果づけている人もいます。
ポジティブな影響を与えているという意見
- 個性よりもコミュニティを大切にする考えが、健全な社会を形成している
- スカンジナビア諸国における、高いレベルの対人信頼の背後にあるのは、まさにジャンテ法の存在である
ネガティブな影響を与えているという意見
- グループ内でジャンテの法則が強く働く場合、自分に合わない人に対する自己嫌悪、または自尊心の欠如を増幅させる
- 何の利益ももたらさず、あらゆる点で純粋に破壊的である
など、色々な意見があるようです。
とはいうものの、深く掘り下げると、ジャンテの法則が、典型的なスカンジナビアの文化の特徴ではない、という意見や、現在はもっと自由だ、という意見もあります。
捉える人によって、変わってくるのですね。
参照: JANTELAGEN
スウェーデン文化のルーツとして残るジャンテの法則とは
ということで、スウェーデン文化のルーツとして残ると言われている、ジャンテの法則について見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
どう捉えるかは難しく、一概にこうだ!と結論付けることはできませんが、私はスウェーデンの文化を知る上で、このジャンテの法則について知ることは、とても興味深いことだと思いました。
そして、周りのスウェーデン人がそこまで自己主張しない所や、周りと同調して行動する傾向があること、社会が平等を重視していることなどから、多かれ少なかれ、この文化は残っていると私は思っています。
読んで頂き、ありがとうございました。